Categories 食物アレルギー

食物アレルギーとは何か?対策・予防編2

錠剤の薬
Pocket

アレルギー疾患には、アトピー性皮膚炎を始めとして食物アレルギーや小児喘息など様々な症状があります。

ここでは、親御さんが大変苦労をされるという乳児期から学童期に多い食物アレルギーについて、その予防法をいくつかご紹介してみたいと思います。

注目をあつめる「経口免疫療法」

アレルゲンをあえて食べる「経口免疫療法」

食物アレルギーの治療法については、未だ研究途上にあるというのが実情です。そんな中、アレルゲンとされる食物をあえて食べるという経口免疫療法が今注目されています。とくに従来であれば、食物アレルギーの原因とされるアレルゲンが特定された場合には、それを完全除去するというのが主流でした。

ところが、「経口免疫療法」の場合、食物アレルギーの原因とされるものをあえて少量ずつ食べさせて反応を見るというのです。

あるいは一定量食べられるのであれば、必要な栄養分を可能な限り摂取させるというのです。まるで、筋肉にダメージを与えて筋肉繊維を太くしていくという筋トレによく似ていますね。

急速法と緩徐法

経口免疫療法にもいろんな方法があります。例えば急速法という治療法の場合、入院しながら2か月から4か月程度で、アレルゲンとされる食物を一定量食べれるようにします。一方、医療機関に通院しながら、半年から1年かけて一定量のアレルゲンとされる食物を食べれるようにする緩徐法という治療法もあります。

とりわけ、従来のアレルゲンとされる食物を一切食べないという治療法の場合、ご家族への負担が相当高いので大変です。経口免疫療法によって食事制限が緩和されれば、それに越したことはありません。

ただし、経口免疫療法の途中で、さらに重い症状になれば中断せざるを得ないケースもあるので有効性が100%というワケではありません。

環境や遺伝からアレルギーを考える

アレルギーは遺伝するのか?

アレルギー体質というのは遺伝するのか?という問題ですが、両親がアレルギー体質だとやはり子供にもアレルギー体質が50%の確率で遺伝するといわれています。また両親のうち片方がアレルギー体質という場合には、確率が30%程度になるといわれています。

ただし両親がアレルギー体質であっても、アレルギー体質の子供が生まれないというケースもあります。

あるいは逆に、両親がアレルギー体質でなくても、アレルギー体質の子供が生まれてくるというケースもあります。親子とはいっても、アレルギー症状の出方というのは人それぞれ、というのが実情のようですね。

清潔過ぎる生活環境が問題?

都市部よりも農村部では、アレルギー疾患が少ないといった報告もなされており、清潔過ぎる生活環境がアレルギー疾患の原因なのではないかといった考え方があります。ただし、こうした衛生仮説は、全ての事例に当てはまるものではないので、やはり仮説の域を脱することはできません。

その一方では、化粧品や歯磨き粉など日常品に多く含まれているパラベンなどの化学物質が、アレルギー疾患に影響しているのではないかといった考え方もあります。

要するに、近年多くなっている様々な化学物質が、人間に本来備わっている免疫細胞に悪い影響を与えているのではないか?という考え方です。現代病の一種と捉えることもできます。

食物アレルギーの治療で大切なこと

試してみないと分からない

乳児期に多くみられる食物アレルギーの場合、よくアレルゲンとされるのが鶏卵・乳製品・小麦などです。

ただしこれらのアレルゲンは、成長するにつれて消化器官も発達するので食べれるようになるといわれています。一般的には3歳程度で50%、6歳程度で80%食べられるようになるといわれていますが、実際に試してみないことには分からないでしょうね。

自分のアレルゲンを早く知る

幼児期の場合には、親御さんが自分の子供のアレルゲンを早く知るということが大切です。近頃では、経口免疫療法なども進められていますが、やはりアレルゲンを食べないというのは王道ともいえる食事療法です。とくに、学校や旅先でアレルギー反応に苦しむようなことがあっては大変ですからね。

また、卵や乳製品・小麦などのアレルゲンは学童期には食べられるようになるのですが、その後新たに発症するというアレルゲンもあります。例えば、甲殻類や果物類・魚類・そば・ピーナツなどは、成人期まで続くアレルゲンともされています。

食物アレルギーの基礎知識についてはこちらをどうぞ。

食物アレルギーとは何か?基礎知識編

子どもと一緒に根気よく頑張りましょう

今のところ、アレルゲンとなる食物を食べないようにする、という食事療法が王道のようですが、その反面子供さんの発育にも随分と影響をしてしまいます。

根気のいることですが、かかりつけ医師や栄養士とよく相談していきましょう。